中古物件のチェックポイント

不動産商品の中でも「中古戸建て」はとりわけ判断が難しい部類と言えます。
内外観はもちろん、躯体や地盤・水回り・電気関係の状態、土地価値や周辺環境など確認点は多岐にわたります。

さらに「中古ガレージハウス」となるとシャッター等設備や周辺道路環境にも気を配る必要があります。このページでは中古ガレージハウスを選ぶ際の主なチェックポイントをまとめました。

CHECK POINT

項目 確認ポイント
建物構造
  • 木造orRCなど建物構造の確認
  • 築年数/各面積/間取り
基礎・地盤
  • 地盤沈下
  • 基礎/外構のひび割れ
  • 周辺住宅/道路の状態
外壁
  • ひび割れ/大きさ
  • 汚れ/色褪せ
  • チョーキング(白亜化現象)
  • 苔、藻、カビ
  • エフロレッセンス(白華現象)
  • 目地のコーキング
  • 外壁の浮き
  • 金属部の錆
屋根・屋根裏
  • 屋根材のズレや破損
  • 雨樋の破損
  • 天井裏の接合部金物
  • シミやカビ
雨漏り
  • 天井や壁のシミ
  • 窓サッシ周り
  • トップライト(天窓)
  • バルコニー/屋上の排水管
床下・シロアリ
  • 浸水や湿気
  • 断熱材の状態
  • シロアリ発生
ガレージ
  • 車庫/開口のサイズ
  • 天井高/開口高
  • 床/壁の状態
  • シャッターの状態
  • 開口部のたわみ
  • コンセント/水道/エアコン
  • 窓/換気扇
水回り
  • 床下やシンク下の水漏れ跡
  • 床に浮き
  • 排水管の匂い
電気設備
  • ブレーカー容量
  • 各スイッチ/コンセントの動作確認
建具
  • ドア/窓の可動確認
  • 床の傾き/キシミ
再建築可否
・土地条件
  • 用途地域や再建築可否確認
  • 建ぺい率や容積率の確認
災害マップ
  • 洪水/津波/土砂のハザードマップ確認
土地・建物の
価値割合
  • 土地評価額の確認
近隣環境
  • 道路アクセス/周辺渋滞
  • 交通機関アクセス
  • ご近所付き合い
  • 町内会費(自治会費)
  • ゴミルール
建物構造

ガレージハウスを含む住宅は特殊なものを除き「木造在来工法」「2✕4(ツーバイフォー)」「鉄骨」「RC(コンクリート)」のいずれかに当てはまります。

構造種類 改築しやすさ 耐久性
木造在来工法(木造軸組み工法)
2✕4(ツーバイフォー)
鉄骨
RC(コンクリート)

最も一般的な木造従来工法は鉄骨・RCに比べて耐久性は劣りますが、改築の柔軟性が高いことが特徴です。また、耐久性が上がるにつれて解体費用も高額になります。
築年数が古い物件であれば、将来的なリフォームや建替えも想定して検討しましょう。

住宅ローンの観点からも築年数は重要で「築年数30年以内」など申込条件を設けている金融機関もあります。
所得税が控除される住宅ローン控除も木造なら築20年以内、鉄骨・RCは築25年以内が適応条件なのでご注意ください。

基礎・地盤

基礎部分に大きなひび割れがないか確認します。
また、床下点検口がある場合は覗き込み目視しましょう。

地盤については一般の方が判断するのは難しいですが、以下は比較的判断しやすいポイントです。

  • 駐車場などのコンクリートに大きな割れがないか
  • ブロック塀にひび割れや歪みがないか
  • 前面道路が波打っていないか

なお、近隣住宅の基礎やブロック塀なども参考になります。
築10年前後の建物なのにヒビだらけ…というものが複数あるなら地盤が原因の可能性もあります。

外壁
外壁状態の確認

建物外壁は見極めの重要な指標になります。
まず、ひび割れ・タイル浮きの程度を確認します。
どんな住宅でも築年数が経てば多少の割れは発生しますが、幅0.5㎜以上のクラックがある場合は要注意。一般的に〜0.3㎜なら問題ないと言われています。

続いて、目地に入った充填材(コーキング)の劣化を確認します。
弾力性がなくなっていれば寿命を迎えており、放置すると雨漏りの原因になるためメンテナンスが必要です。

汚れや色褪せは景観的な問題だけでなく、塗膜が劣化して汚れが付着しやすい状態になっていると判断できます。
チョーキング(白亜化現象)と呼ばれる塗料の劣化によって壁面にチョークのような白い粉が付着する現象、エフロレッセンス(白華現象)と呼ばれるコンクリートやモルタルなどから水酸化カリウムが流れ出す現象、外壁の浮きや金属部の錆も確認します。

外壁は24時間365日、雨・風・紫外線に晒されています。
築年数が経てば劣化しない物件は存在しませんので、多少の汚れや色褪せ程度なら神経質になりすぎる必要はありません

屋根・屋根裏

屋根は素人が登るには危険なので、地上から目視できる範囲の確認ポイントです。
屋根材のズレや破損、塗装剥がれ、雨樋の破損がないかをチェックします。雨樋は詰まりがないかも確認できればなお良し。
天井裏は接合部にガタつきがないか、シミやカビがないか、シロアリやネズミの糞などがないかを見ます。

雨漏り
雨漏りリスクの高い天窓

天井や壁の上部に大きなシミがないか確認しましょう。
窓サッシはゴムの劣化を要確認。ゴムが硬化していたり千切れているとそこから水が侵入します。
とは言えゴムは10年程が寿命なので購入後にメンテナンスする覚悟でも良いでしょう。

窓類で要注意なのはトップライト(天窓)です。
モロに雨を受けるだけでなく、角度的に紫外線の影響を受けやすいためゴム類の劣化も早いのです。
車でいうところのサンルーフだと考えれば雨漏りリスクが高いことは容易に想像できますね。

バルコニー/屋上がある物件は排水管も見ておきましょう。ドロや落ち葉が詰まっていると雨水が溢れてしまいます。

これらが主な確認点ですが、予測不可能なのが雨漏りの厄介なところ。
買主様・売主様の都合さえあえば、雨の日に内見して雨漏りが無いことを確かめるというのが理想ではあります。

床下・シロアリ

床下は床下点検口から覗き込み確認します。
床下収納庫が点検口を兼ねている場合もあるので、売主様や立ち会い業者へ訪ねてみましょう。

  • 上下水道配管からの水漏れがないか
  • 床断熱材の破損や脱落がないか
  • 木材のカビや腐朽はないか
  • シロアリは発生していないか

を注意深く観察します。

ガレージ
中古ガレージハウスの車庫

車庫はガレージハウスの主役。
車庫サイズ/開口サイズ/天井高を測り、愛車が格納可能か、ドアやラゲッジを開閉する余裕があるかを確認します。
(東京ガレージに掲載しているガレージハウスは各サイズを採寸して記載しています)
もちろん、将来的に手に入れたい車種があれば視野に入れて考えましょう。

床・壁のひび割れやシミは建物同様に確認します。
カビや金属類の錆はある程度は仕方ないものの、愛車が同じ環境で保管されることを考えると軽視できません。換気扇や通気孔、開閉可能な窓など湿気対策がなされているかは重要なポイントです。

その他、シャッター動作やコンセント・水道・エアコン設備の有無も見ておきます。中には電気自動車に対応した200V電源を備えている物件もあります。

水回り

主にキッチン/洗面所/トイレ/浴室の4箇所を確認。
水道・ガスが通っている物件なら、蛇口やシャワーが正常に動作するか、温度調整が正常に動いているか確認します。

キッチン・洗面台は扉を開けて配管からの水漏れがないかを確認。
トイレは便器周りの床にシミや浮きがないかも確認しましょう。
蛇口の不良程度なら少額で済みますが、配管破損などの場合は修理費用も高額になるので重点的にチェックしましょう。

電気設備

まず、ブレーカー容量を確認します。
築年数が古いと30アンペア契約になっていることもあり、すぐにブレーカーが落ちてしまいます。
容量UPの工事は可能ですが、そもそも30Aを想定した太さの配線が張り巡らされていることを理解しておきましょう。

あわせて照明スイッチとコンセントも一通り動作・通電をチェックします。
漏電については専用の機材が必要になりますが「クランプメーター」を用いて確認することができます。

建具

室内外のドア・窓の開け締めがスムーズか、一通り動作確認します。
床のきしみや傾きは隈なく歩き回ってみるとわかりやすいです。

再建築可否/土地条件

将来的な改築や建替えを見据えて用途地域と再建築可否を確認しておきましょう。
また、建ぺい率と容積率も重要な指標です。
「庭が広いからガレージを建てられると思っていたら、建ぺい率の制限があり実現できなかった」というようなことが無いよう土地条件についても理解しておく必要があります。

災害マップ

洪水/津波/土砂などハザードマップを確認しておきましょう。
「立地に対して割安だと思ったらハザードマップで真っ赤だった…」ということも少なくありません。
ハザードマップ内だから購入してはいけないという話ではなく、どの程度の災害リスクが潜んでいるかを知った上で購入を判断することが重要なのです。

土地・建物の価値割合
路線価のイメージ

中古ガレージハウスの場合、土地と建物がセットになった価格が表示されています。
同じ5,000万円の物件でも「A 建物価値:1,000万円/土地価値:4,000万円」「B 建物価値:4,000万円/土地価値:1,000万円」など土地と建物の価値割合が異なります。

建物は築年数が古くなるにつれて価値が目減りし、最終的にはほぼ0円となります。一方、土地は相場変動こそあるものの時間の経過で価値が薄れるものではありません
例えば築15年のガレージハウスを購入し、20年後(築35年)の売却を想定した場合、建物価値は相当に目減りしていてほぼ土地価格で取引されることになります。このような理由から購入物件の土地価値を把握しておくことは非常に重要なのです。

土地価値を知るにはいくつかの方法がありますが、書類不要で誰でも調べられる方法として「路線価」を用いた手法があります。
路線価は国税庁HPの「路線価図・評価倍率表」にて調べることができます。

地図上に記載された数値が1㎡あたりの路線価(千円単位)なので「300」と記載があれば「300✕1,000円=300,000円/㎡」と読み取ることができます。
さらに実勢価格の目安は【路線価評価額(路線価×面積)÷0.8×1.1】で求めることができます。

■例:路線価「300」と記載された100㎡の土地の場合
1㎡あたりの路線価=300✕1,000円=30万円/㎡
→ 土地実勢価格の目安=30万円✕100㎡÷0.8✕1.1=4,125万円

近隣環境

物件確認に集中するあまり見落としがちな項目ですが、近隣環境も重要な指標です。
ガレージハウスの場合、幹線道路から物件までの経路や周辺渋滞状況も気になるポイントです。
「平日はガラガラだが、休日は大型商業施設へ訪れる車で大渋滞」「休日は空いているが、平日は通勤車で渋滞」というようなケースも珍しくありません。曜日や時間帯を変えて訪れてみると意外な気付きがあるものです。

また、車移動前提であっても鉄道駅へのアクセスは確認しておきましょう。
「徒歩◯分」表記には坂道や信号・踏切は考慮されていないので実際に歩いてみることをおすすめします。

その他、ゴミ出しルール・町内会費(自治会費)についても事前に把握しておくと良いでしょう。
ご近所付き合いは見極めが難しいですが、見学時に近所の方を見かけたら「この辺の住心地はいかがですか?」と積極的にコミュニケーションしてみるのも良いですね。
加えて売主様や仲介会社へ売出し理由を聞くとヒントになるかもしれません。

完璧な中古物件は存在しない

中古ガレージハウス選びにおけるポイントを一通りお話しましたが、価格を含め「完璧な中古物件は存在しない」というのもまた現実です。
一般的に価格が下がる程に解説したような不具合が発生していたり、極端に土地価値が低い立地だったりします。逆に予算を広げれば築浅物件も見つかりますが、中古ゆえのお得感は薄れます。

感覚的には中古車選びと同じです。

  • 値が張っても資産価値が高く故障リスクの低いバリモノを狙う
  • 多少の不具合やリセールには目をつぶり、相場よりも割安な不人気車や過走行車を狙う

どちらも理に適った選択であり、正解はありません。
理想に近いガレージハウスを手に入れて思い描いたカーライフを実現するのも良し、修理やリノベーションも一つの楽しみと考え自分好みのガレージハウスに仕上げていくのも良しなのです。

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